遅かれ、早かれ、恋になりまして。
「枠、こっち寄せたほうがいいな……」
モニターを睨みながら、私は小さくキーボードを叩く。
高反応の時間帯に寄せる。
媒体ごとの成果を見ながら、弱い枠を削る。
まるで呼吸を整えるみたいに、数字の流れを組み替えていく作業だった。
「調整、入れます」
その一言で、社内チャットが一気に動き出す。
配信停止、差し替え、再入稿。
どれも一つ遅れれば、その分だけ数字が崩れる。
静かなのに、ずっと動いている。
オフィスの空気と、画面の中の世界が、同時にせわしなく流れていた。
ふと気づくと、そろそろ昼になる頃だった。
水を飲む余裕もないまま、私はまたグラフに目を戻す。
さっきまで上がっていたCPAが、わずかに下がり始めている。
「……戻ってきた」
小さく息を吐く。
完全に安心できるラインじゃない。
でも、確かに流れは変わっている。
数字は正直だ。
手を入れた分だけ、遅れて反応してくる。
「先輩、これって成功ってやつです?」
私は画面から目を離さずに答えた。
「まだ途中」
そう、まだ途中だ。
結果が出るのは、もっと先。
最後まで見ないと、何も言えない。