遅かれ、早かれ、恋になりまして。

『明石さんは、これというものがあったら、絶対にブレないタイプですよね。でも、これってものを見つけるまでに時間がかかるタイプでもある。吟味して、吟味して…いつも最上のものを選んでる』

『明石さんは、もっと自信もっていいと思います』


いつの日か言われた言葉が、不意に頭の中に浮かぶ。

あれからも私は、ずっと自信がないままでいる。仕事でも、選択でも、判断でも、どこかで「これで合ってるのかな」って小さな声が消えない。

それでも、あのとき言われた言葉は、少しだけ背中を押してくれる。
ほんの少しだけ。
でも、その少しが意外と大きい。


「………。」


………有馬さんみたいに、なりたい。


有馬さんが、私に頼ってくれるくらい仕事ができる人間になりたい。
ただ「すごい」って見上げる側じゃなくて、ちゃんと隣に立てるくらい。

私が、有馬さんから目を離せないように、有馬さんも私から目が離せなくなるくらいに。

有馬さんにとっての私が、ちゃんと意味のある存在でいたい。
ただの担当じゃなくて、ただの取引先でもなくて。

キラキラして見えるような存在でいたい。


「………。」


嫌われたい。嫌われたくない。
優しくしてほしくない。優しくしてほしい。


全部が同時に出てきて、どれも正しくて、どれも間違ってる気がする。

頭の中がぐちゃぐちゃになっていくのに、なぜか一番強く残るのはひとつだけだった。



私のこと、もっと見てほしい。
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