遅かれ、早かれ、恋になりまして。
「誰から?」
「……有馬さん」
その瞬間、佳奈子が勢いよく身を乗り出す。
「え!?早く出なって!」
さっきまで意外と大丈夫なんて言ってたくせに。いざ電話がかかってくると、指先が震えてうまく動かない。
深呼吸して、通話ボタンを押した。
「……もしもし」
『ずっと連絡できなくてごめん』
耳に届いた低い声に、胸がぎゅっと締め付けられる。一週間ぶりに聞く、有馬さんの声。たったそれだけなのに、泣きたくなるくらい嬉しかった。
『今日の夜、会えない?』
ちらっと佳奈子を見ると、佳奈子は親指を立てていた。きゅっと唇を結んで、私は小さく息を吸った。
「……会いたい、です」
できるだけ、この気持ちが伝わるように。この言葉に、全部込めたつもりだった。すると電話の向こうで、有馬さんが微かに笑った気がした。
『17時半頃、迎えに行きますね』
「……はい。待ってます」
『じゃあ、またあとで』
通話が切れたあともしばらく、耳の奥に有馬さんの声が残っていた。たった数十秒の電話。それだけなのに、世界がふわふわ浮かぶくらい幸せだった。
「有馬さんなんて!?」
「仕事終わり……会うことになった……!」
言った瞬間、込み上げてくる嬉しさを隠しきれなくて、私はへにゃっと頬を緩ませた。