遅かれ、早かれ、恋になりまして。
**
17時20分を過ぎた頃だった。
デスクの上に置いていたスマホが、ふっと光る。反射的に手を伸ばして画面を確認すると、有馬さんからだった。
〈駐車場にいます〉
……駐車場?どうして駐車場なんだろう。
疑問に思いながらも、すぐに〈今向かいます〉と返信した。
その瞬間から、心臓が落ち着かない。慌ててパソコンを閉じて、バッグに荷物を詰め込む。そんな私を見ながら、八木くんがじっとこちらを見ているのが視界の端に入った。
……なんか、顔怖い。珍しく今日は残業してるみたいだった。
「八木くん、先帰るね!」
声をかけると、八木くんは少しだけ眉を寄せたまま口を開く。
「……もしかして、有馬さんですか?」
「え、分かる?」
驚いて聞き返すと、八木くんは小さくため息を吐いた。
「顔見れば分かりますよ。有馬さんによろしく言っといてください」
ひらひらと適当に手を振られて、私は思わず笑ってしまう。
「なにそれ。じゃ、お疲れ!」
逃げるみたいにフロアを飛び出した。エレベーターを待つ時間さえ、今日はやけに長く感じる。
早く着いて。早く会いたい。そんなことばっかり考えてる自分に、少し呆れる。でも、それ以上に胸が苦しかった。好きだって伝え合った日から、一週間。やっと会える。
エレベーターの鏡に映る自分を見て、慌てて前髪を整える。
「……落ち着け、私」
小さく呟いて、ふうっと息を吐いた。
エレベーターが一階に着く。扉が開くと同時に、私は会社裏の駐車場へ向かった。夕方の風が少し冷たい。足早に来客用スペースへ向かうと、そこに黒い車が停まっていた。
そして、その横に立っている人を見つけた瞬間、心臓が止まりそうになる。
有馬さんだ。腕時計に目を落としていた彼が、ふと顔を上げる。
そして私を見つけた瞬間――あのアーモンド形の瞳が、ふわりと柔らかく細められた。
17時20分を過ぎた頃だった。
デスクの上に置いていたスマホが、ふっと光る。反射的に手を伸ばして画面を確認すると、有馬さんからだった。
〈駐車場にいます〉
……駐車場?どうして駐車場なんだろう。
疑問に思いながらも、すぐに〈今向かいます〉と返信した。
その瞬間から、心臓が落ち着かない。慌ててパソコンを閉じて、バッグに荷物を詰め込む。そんな私を見ながら、八木くんがじっとこちらを見ているのが視界の端に入った。
……なんか、顔怖い。珍しく今日は残業してるみたいだった。
「八木くん、先帰るね!」
声をかけると、八木くんは少しだけ眉を寄せたまま口を開く。
「……もしかして、有馬さんですか?」
「え、分かる?」
驚いて聞き返すと、八木くんは小さくため息を吐いた。
「顔見れば分かりますよ。有馬さんによろしく言っといてください」
ひらひらと適当に手を振られて、私は思わず笑ってしまう。
「なにそれ。じゃ、お疲れ!」
逃げるみたいにフロアを飛び出した。エレベーターを待つ時間さえ、今日はやけに長く感じる。
早く着いて。早く会いたい。そんなことばっかり考えてる自分に、少し呆れる。でも、それ以上に胸が苦しかった。好きだって伝え合った日から、一週間。やっと会える。
エレベーターの鏡に映る自分を見て、慌てて前髪を整える。
「……落ち着け、私」
小さく呟いて、ふうっと息を吐いた。
エレベーターが一階に着く。扉が開くと同時に、私は会社裏の駐車場へ向かった。夕方の風が少し冷たい。足早に来客用スペースへ向かうと、そこに黒い車が停まっていた。
そして、その横に立っている人を見つけた瞬間、心臓が止まりそうになる。
有馬さんだ。腕時計に目を落としていた彼が、ふと顔を上げる。
そして私を見つけた瞬間――あのアーモンド形の瞳が、ふわりと柔らかく細められた。