遅かれ、早かれ、恋になりまして。
NEXERA株式会社は10時に来る予定だ。二回目の打ち合わせ。前回の会議内容を踏まえた修正案の共有と方向性の擦り合わせ。
絶対にミスできない。寝不足とか動揺とか、そんな個人的な感情で仕事を崩すわけにはいかない。
私は自分のデスクに荷物を置き、ゆっくり椅子に腰を下ろした。パソコンを立ち上げながら、小さく深呼吸する。
とにかく今は集中。余計なことを考えるな。
時計の針が9時45分を指したところで、私は資料をまとめて席を立った。
パソコンの画面を閉じて、小さく息を吐く。そろそろロビーへ向かう時間だ。NEXERA株式会社が来るのは10時。たぶんあちらは時間ぴったりに来るタイプだと思う。でも、迎える側が先に待っているに越したことはない。
そう思いながらフロアを出て、エレベーターホールへ向かう。
エレベーターの前に立ってボタンを押す。しばらくして、上から降りてくるランプが止まった。
「課長、おはようございます」
エレベーターの中から出てきたのは、高瀬課長だった。
「おはよう。ロビー行く?」
「はい」
「よろしく」
課長はそれだけ言って、フロアの方へ歩いていく。
ひとりきりのエレベーターの中で、緊張が増していく感じがする。ドッドッと心臓の音がうるさい。
落ち着いて。大丈夫。
自分に言い聞かせながら、1階のボタンを無意識に連打した。