遅かれ、早かれ、恋になりまして。

その言葉に、顔を上げて一瞬だけ意味が分からず固まる。

慎重、という言葉が悪いのか良いのかも分からないまま、曖昧に「そう…なんでしょうか」と答えてしまうと、彼はわずかに頷いた。


「でもそれって、悪いことじゃないと思います」


有馬さんが、じっと私を見つめる。
視線を逸らすタイミングを失ってしまったまま、その瞳に捕まったみたいに動けない。

彼の綺麗なアーモンド形の瞳に、私がそのまま映っている。


「明石さんは、これというものがあったら、絶対にブレないタイプですよね。でも、これってものを見つけるまでに時間がかかるタイプでもある。吟味して、吟味して…いつも最上のものを選んでる」


その言葉を聞きながら、自分のことをそんなふうに言われたのは初めてで、どう反応すればいいのか分からなくなる。


「だから、失敗することが怖いと思う気持ちは、悪いことなんかじゃないです」


そこまで言われた瞬間、胸の奥が少しだけ静かになる気がした。

誰かに見抜かれたような、でも責められているわけではない不思議な感覚で、私は思わず視線を落とした。
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