遅かれ、早かれ、恋になりまして。
「先輩。資料室の扉、開けてもらえます?」
「あ、うん、わかった!ついてくね!」
慌てて小走りで隣に並びながら、資料室へ向かう廊下を早歩きで進む。
「しかし、八木くん。意外と力あるんだね」
「何言ってるんですか。こんなの男なら誰だって余裕です」
「そうなの!?」
「俺のこと舐めてますよね」
いやいやいや、どちらかというと舐められてるのは私の方なんだけど…?
そうこう軽口を言い合っているうちに着いた資料室。どうぞ、なんて言いながら扉を開けた。
「ほんと、助かった。ありがとう八木くん」
素直にお礼を言うと、八木くんは段ボールを近くのテーブルに軽く置いて、やれやれと言いたげな顔でこちらを見る。
よく見る顔だ!私によく向ける顔!
「ごめんね。手かかる先輩だなーとか思ってる?」
覗き込むように八木くんの顔を見上げると、「思っていませんよ」と八木くんは目を細めて即答する。その間がほとんどなさすぎて、逆に怪しい。
絶対嘘だ、これは。思ってる顔してる。最近ようやく分かってきたけど、八木くんは意外と思ってることがそのまま顔に出るタイプだ。