遅かれ、早かれ、恋になりまして。
「筋トレしようかな~」
冗談半分でそう言いながら、右腕を上げて肘を曲げてみせる。
実際問題、ちょっとは筋肉つけたほうがいいのかもしれない。最近はデスクワークばかりで、運動なんて家から駅、駅から会社までの徒歩くらいだし。
すると八木くんは、私の腕にそっと手を伸ばして、軽く押さえるようにして下ろした。
「しなくていいです。先輩ができないことは俺が全部やるんで」
「……そう?」
そんなこと言ったら、本当に全部頼んじゃうよ?
「それより、お礼にご飯連れてってくださいよ」
「え!?今のお礼に!?」
「連れてってくれないんですか?薄情者だなー」
わざとらしくしょんぼりしている風を装っている八木くん。
あなた、こんなタイプじゃないよね?なんて思いながらも、今度は私が呆れたように息を吐いた。
「わかったよ!いつにするか考えておいて!」
ここは先輩の私に任せなさい!
ばしばしと八木くんの背中をたたくと、「痛いんでやめてください」とまた嫌な顔をされる。