遅かれ、早かれ、恋になりまして。
「なーに?気がかりでもあるの?」
「気がかりとかじゃないけど…これが恋なのかなんなのか確信がないんだよね」
自分で言いながら、なんて曖昧な答えなんだろうと思う。でも、今の気持ちを一番正確に表すならこれだった。
「どうして?」
「どうしてって…だって、まだそんなに相手のこと知らないし。会った回数だって全然多くないし。優しくされたから勘違いしてるだけかもしれないし」
言葉にしていくうちに、どんどん自信がなくなっていく。
「しかも、有馬さんって仕事できるし、落ち着いてるし、ああいう人って誰にでもあんな感じなんじゃないかなって思うし…」
佳奈子は、なるほどねー、とうんうん頷きながら聞いてくれる。
有馬さんは、ものすごく、ものすごーく出来る人なのだ。
完全に、そっち側の人。
会議でも冷静だし、質問は鋭いし、言葉の選び方も無駄がない。相手の考えてることを一歩先で読んでるみたいな人で、私みたいに「これで合ってるかな」「失敗したらどうしよう」って毎回悩みながら進めるタイプとは、根本的に違う気がしてしまう。
私なんて、資料ひとつ作るだけで何時間もかかるし、修正して、また迷って、結局残業して。失敗したくなくて慎重になりすぎて、自分でも呆れるくらい時間を使ってしまう。
でも有馬さんは、そんな私を見ても笑わなかった。