遅かれ、早かれ、恋になりまして。
この前だって、バカみたいに自分のダメなところを晒しまくった私に対して、『うまくできてましたよ』なんて真面目に褒めてくれて、そのうえ『もっと自信もっていいと思いますよ』なんて言葉までくれた。
…………あの人は、ああいうのがずるい。
仕事だけだったら、私の話なんて、そうなんですねで流してくれればよかったのに。無駄に優しくなんてしなければよかったのに。
打ち合わせの最中だって、私が言葉に詰まっていたら放っておけばよかったのに。変に助け舟なんか出さないでくれればよかったのに。
なのに、有馬さんはちゃんと見てくる。
私が焦ってるのも、不安なのも、多分全部気づいてる。
その上で、否定しない。
……そんなの、意識するなっていう方が無理じゃない?
回数を重ねるごとに、助けてくれるのが課長から、気づいたら有馬さんになっていた。
有馬さんにとってはきっと、私が年下だから。取引先相手とはいえ後輩みたいなものだから。案件を円滑に進めるために気を配ってくれているだけ。多分それ以上の意味なんてない。
分かってる。分かってるけど。
それでも私にとっては、もうただの取引先相手の担当者ではなくなっていた。
会議で視線が合うだけで緊張するし、褒められた言葉を何回も思い出すし、朝電車で見かけるだけでその日一日ちょっと気分が違ってしまう。
そこまで考えたところで、私は小さく唇を尖らせた。
「それに最近……電車で会えてないし」
ぽつりと零すと、佳奈子が「ん?」と顔を上げる。