遅かれ、早かれ、恋になりまして。
最近、いつも乗っている車両に有馬さんがいないのだ。
前はかなりの頻度で見かけていたのに、ここ数日は全然会わない。時間を変えたのか、別の車両に移ったのか、それとも単純に偶然なのか分からないけれど、つい無意識に探してしまっている自分がいる。
……いや、ほんと何してるんだろう私。
「やっぱり、同じ車両って嫌だったよね…気まずいよね、そりゃ」
自分で言いながら、どんどん落ち込んでいく。
仕事相手なのに毎朝同じ車両にいるとか、普通に考えたら気まずいかもしれない。しかも私は絶対、見つけた瞬間ちょっと顔に出てたと思うし。もしかして気づかれてた?
自分でも気づかないうちにストーカーになってたのかもしれない。それは嫌すぎる……とほほ。
佳奈子は、そっかそっかとふんふん頷いて、それから私を見て微笑んだ。
「ヤヨは寂しいんだね」
「…寂しい?」
「いつも完璧な有馬さんで、寂しいんでしょ。仕事じゃない、普通の有馬千春が見たいんじゃないの?」
佳奈子は、クスッと笑って、頬杖をついた。
………寂しいなんて、その言葉は、自分の中になかった。
私はただ、気になるだけだと思っていた。優しくされて意識してるだけ。仕事で関わる機会が増えたから、少し距離が近く感じてるだけ。そうやって、ずっと理由を探していた。
でも、寂しいって言葉は、妙にすとんと胸の奥に落ちた。