本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで
「これが私……?」
メイクが終わったので目を開けたら、鏡の中に私だけど私じゃない美女がいた。
なんて言うか、まるで別人に変身したとかじゃなくて、私という素材を最大限まで磨き抜いたという感じ。今までの私がレベル1だとしたら、私のままレベル100になったと言うか。
いつもピンできっちりと留めている長めの前髪は6:4くらいにふんわりと分けられ、いつも一つにくくっている後ろ髪は下ろされてゆるく巻かれていて。
ベージュ系のアイシャドウしか塗ったことのない瞼は、少しラメが入ったゴールドベージュに。
アイラインは濃いブラウン。
アイシャドウが目のキワからグラデーションに塗られたことで自然な陰影を作り、目を立体的に見せている。
肌に馴染む色ながらも、光が当たるとゴージャスな黄金色に煌めく。
睫毛は黒々と艶やかに、美しい放射線を描いていて。
リップの色はシンプルにサーモンピンク。けれど、真珠のような光沢があって華やかだ。
「お客様は、今日着て来られた紺色もお似合いになりますが、こういった鮮やかな色もお似合いになるのではないかと思い、お選びいたしました」
さすが、良い店の店員さんだ。今日の私の服装を否定しないように言ってくれた。
なんとなくだけど、私が紺色が好きなわけではなくて、派手な色を避けて消去法なだけというのも理解した上での言い回し。
深いワインレッドの服なんて初めて着たけれど、顔が明るく綺麗に見える気がする。
「私、こんな華やかな色も合うんですね、素敵に仕上げてくださってありがとうございます……!」