本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで

第八話 真実

◇◇◇

 ――レストランに行って以来。

 藍堂先生の私を見る目が、優しいだけじゃなくて甘さが滲んでるような……。
 私の思い違いかも……思い違いじゃない……これを行ったり来たりしてる。
 キッチンで昼食のカレーを作っていると、藍堂先生が書斎から出てきて「作ってるところを眺めてもいいか?」と聞いてきた。

(次回作で料理描写が必要とかかな?)

「いいですよ」

 すると藍堂先生は私のすぐ横に立ったのだ。少し動いたら触れそう……。

(ってまた何考えてるの私は! 今仕事中!)

 私は雑念を振り払うため、アク取りに集中する。

「それは一体何をしているんだ?」
「アクを取ってるんですよ。取らなくても食べられますけど、取らないとえぐ味が出ちゃいます」
「……地道な作業だな」
「料理は結構こういう地味な工程が多いですよ。でも、雑味が減って美味しくなるんで」
「栞さんの料理が美味しい理由がわかった、いつもありがとう」

 横で立ち、間近で満面の笑みを見せる藍堂先生。
 まるで、付き合っているカップルみたいな距離感。

(こんなの、勘違いしそうになる……!)

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