本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで
ああ、私、藍堂先生のことが……好きなんだ。
とっくに気付いてた。けれど、認めたらすべてが終わってしまうから、目を背けていたんだ。
私の醜い恋心なんて、私のことをハウスキーパーとして、同好の士として信頼してくれている藍堂先生に知られてはいけない。
私は歯を食いしばって耐えた。
けれど……洞察力のある藍堂先生が見逃すはずもなく。
「すごくつらそうだが……どこか具合が悪い?」
もう隠しきれない。
「ごめんなさい……」
「なぜ謝る? 体調はどうしようもないよ」
「違うんです!」
私のことを純粋に心配してくれる藍堂先生に申し訳なくて。
「私は……藍堂先生が他の女性と一晩過ごすことがつらくて……」
終わった。
美人な彼女がいるのに、住み込みのハウスキーパーにこんなこと言われたら、怖くて仕方ないだろうな。
今すぐ叩き出されてたとしても、仕方がない。
藍堂先生の反応を見るのが怖くて、顔を上げられない。
頭上から、戸惑いに満ちた藍堂先生の声が聞こえた。