本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで
 電話を切った藍堂先生がスマホをテーブルの上に置いたタイミングで、私はすぐさま頭を下げる。

「すみません! 私が名前を確認しなかったせいで、ひどい勘違いをして……」
「いや、『美咲』は一般的に女性の名前の確率が高いから、君が思い込んだのも仕方ない。叙述トリックでも使うテクニックだ。それに俺も苅安出版と聞いて、美咲さんと早合点していたし」
「でも……」
「というか、君が時折悲しそうな顔をしていた理由がやっとわかった。雇用の関係上パワハラになりかねないから、遠回しに言っていた俺も悪いんだが。俺はこないだのも、デートのつもりで……」
「え。あれは取材って言ってましたよね……?」

 私が首をかしげると藍堂先生は苦虫を噛み潰したような顔をした後、私の目を見つめる。

「これからは君が絶対に誤解しないよう、ストレートに伝えることにする」
「? はい……」

「俺も君が好きだ」

「へ……?」

 藍堂先生の口から信じられない言葉が聞こえて、私は固まってしまった。

「私いま、夢を見てる……? だって、藍堂先生のようなかっこよくて魅力のある男性が、地味で何の取り柄もない私なんかを好きになるわけが」
「君は自分の魅力に気付いてないんだな……」

 頭を抱えた藍堂先生を見て、私はますます混乱する。
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