本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで
「そもそも俺が君にハウスキーパーの仕事を持ちかけたのは、君に恩返したかったからだ」
「恩返し……? 私、何も……」
「半年前、俺が君の読書感想ブログに辿り着いたのは、初めて書いた時代小説の感想を漁っている時だった」
「ああ、そういえば……」
「初の時代劇で人気シリーズの続編ではなかったため、ファンからは非難の方が多かった」

 藍堂先生の言っていることは事実だ。私は静かに続きを待つ。

「けれど、君は人気シリーズとの関連があることも正しく読み取ってくれていて、感激したんだ」
「そうだったんですか……」
「それから、俺が仕事をしやすいよう気を配ってくれる君にどんどん惹かれていった。ここまで言えば、わかってくれるか?」

 今も信じられない気持ちだけれど、藍堂先生の熱っぽい目を見ると、信じたくなる。
 本当に、藍堂先生が、私のことを好き……?

「藍堂先生……」

 藍堂先生の指先が私の唇に触れた。

「名前で呼んでくれないか」
「……た、鷹司さん……?」

 これでいいのか不安で、藍堂先生――鷹司さんに目で訴える。
 すると、鷹司さんは一瞬目を見開き、手で自分の口元を押さえた。
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