本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで
♪~
着信メロディが流れて、鷹司さんの動きが止まる。
「で、電話に出た方が……」
私は掠れた声をなんとか絞り出して訴えた。
鷹司さんはテーブルの上で鳴り響くスマホを一瞥した後、苦笑いをする。
「美咲さんを邪魔だと思ったのは初めてだ」
小さく呟いた後、私から離れた鷹司さんはスマホを手に取って話し始めた。
電話をする鷹司さんをぼんやりと眺める。
少し伏せた目も、真剣な表情も全部がかっこいい。
私、こんなにかっこいい人とさっきまで深いキスをしてたんだ……。
あのまま、電話がかかって来なかったら、どうなっていたんだろう――
「栞さん、うちに来た女性はこの女性か確認してほしい」
いつの間にか、鷹司さんは電話を終えていた。
「はっはい!」
私は慌てて鷹司さんが差し出したスマホを覗き込む。
そこに写っているのは、あの日遭遇した女性だった。
「そうです、この人です! 一体何者なんですか……?」
「宮本優衣華と言う、文芸苅安編集部の雑用アルバイトの女性だそうだ」
「雑用アルバイト……」
「ああ。電話応対や郵便物発送などの仕事をするアルバイトだ。俺が編集部に顔を出した時に見かけて気に入り、自宅の住所を調べたらしい」
「そんな……」