本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで

(引っ越し先が決まるまで何泊もするのに……!? ええと一泊一人当たりいくらだろ……)

 鷹司さんは、慌てる私の耳元に顔を寄せて囁く。

「君は何も心配しなくていい。ね?」
「は、はい……!」

 ホテルのエントランスでの接近。
 恋人同士の距離感にまだ慣れていない私は、何も考えられなくなって返事をするのに精一杯で。
 その間に鷹司さんはチェックインを済ませてしまった。

 ホテル内のレストランで夕食を食べ終え、案内された部屋はロイヤルスイートルーム。

「わ……なんて綺麗……」

 宝石を砕いて散りばめたような夜景に、感嘆の声が洩れる。

 室内にはゴージャスなソファーにテーブル、エレガントなランプ。
 奥の部屋には――キングサイズのベッド。

「汗かいたので、シャワー浴びてきます!」

 私は鷹司さんの返事を聞く前にバスルームに飛び込んだ。
< 54 / 86 >

この作品をシェア

pagetop