本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで
鷹司さんに正面から抱きしめられて耳元で囁かれる。『あの続き』がどのことか、聞き返さなくてもわかる。
――断る理由は……ない。
だって、私もあの時についた火が、体の奥で燻っているから。
「はい……」
恥ずかしくて小さな声になってしまったけれど、鷹司さんは聞き逃さなかった。
「……ずっと、こうしたいと思っていた」
鷹司さんは低く甘い声で言った後、私の耳にキスを落とす。
「……あ、あの私……」
「うん?」
私が話し始めると鷹司さんは少し屈んで、私の顔を覗き込む。
「今まで、誰とも付き合ったことがなくて……」
頭上で息を飲む気配がした。
27歳にもなって恋愛経験がないのって重いかな……。
「うれしいな……絶対に優しくするから」
「きゃっ!?」
鷹司さんはうれしそうに言った後、私を軽々と抱き上げた。
大きなベッドに横たえられた私の上に、鷹司さんが覆い被さる。
「栞……」
甘く、低い声で名前を呼び捨てにされて。
ぎらついた目で見つめられて。
たまらなくなって、ゆっくりと目を閉じる。
私は鷹司さんに全てを委ねて、溺れていった。