本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで

 昼下がり。

 鷹司さんと私がカフェラウンジに行くと個室に案内された。美咲さんはすでに来ていて、私たちが部屋に入ると、すぐに立ち上がる。
 そして、鷹司さんと私に向かって「この度は弊社のアルバイトが申し訳ない!」と深く頭を下げるので、私たちは慌てた。

「美咲さん、頭を上げてください! 苅安出版も被害を受けた側ですし」
「そうは言っても編集長の立場だからな……」

 頭を上げた美咲さんはしばらく渋い顔をしていたが、私を見るとパッと笑顔になった。

「あなたが鷹司の彼女の栞さんだね! 会いたかったんだ~初めまして、俺は文芸苅安編集長の美咲剛健だ」
「ひゃ、初めまして、碓氷 栞と申します」

 鷹司さんが私のことを彼女と紹介してくれていたことに驚きと喜びを感じて、少し噛んでしまった。うぅ恥ずかしい。

 美咲さんに促されて鷹司さんと私も席に着く。
 コーヒーを運んで来た店員さんが部屋を出ると、美咲さんがコーヒーを一口飲んでから話を始めた。

「宮本優衣華についてだが……業務上知り得た情報の漏洩は守秘義務違反。その情報を利用してストーカー行為。それにより、懲戒解雇処分。即日解雇した」
「……宮本優衣華は納得したんですか」

 鷹司さんが尋ねると、美咲さんは肩をすくめた。

「納得してるかどうかはわからんが、解雇通知書は受け取ったし、IDカードなんかも素直に返却したぞ。だからまぁさすがにこれ以上馬鹿な真似はしないとは思うが」

 初対面で失礼なことを言われた身としては、彼女は素直に引き下がるタイプには思えない……。
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