本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで
「俺の婚約者に何か?」
佐山さんの背後に立った鷹司さんが、佐山さんの肩を掴む。
「鷹司さん!」
「こっ婚約者ぁ!?」
振り返った佐山さんは、自分より遥かに背が高い鷹司さんに怯んだのか、私から離れた。
「釣り合ってねーよ。どうせ金目当てとかだろ」
佐山さんは去り際に捨て台詞をボソッと吐いて、雑踏に消えていった。
会社にいる頃は穏やかでいい人だと思っていたのに。
「鷹司さ……んん!」
鷹司さんは私を抱き寄せるとそのまま顔を近づけて、キスをした。
そして、ぎゅっと強く抱きしめた。
「……外で、キ、キスなんて……」
歩道に面した小さな公園だから、今もすぐ近くを人が歩いているのに。
恥ずかしさのあまり、不満が口から零れてしまう。
「……すまない。自分がこんなに独占欲が強いなんて知らなかった」
鷹司さんは私から体を離すと、うなだれた。
「助けてくれたのはヒーローみたいでかっこよかったから……」
「……そうか」
安堵した様子の鷹司さんの手を取って、二人並んで駐車場に向かって歩き出した。