本好きで恋愛苦手な私が推し小説家に溺愛されるまで

  店員さんが私の前にベルベッドの小さなジュエリーケースを持って来た。

「もうひとつ……?」

不思議そうに呟く私に、鷹司さんはうれしそうに笑ってそれを開ける。

「これは……!」

 中にあるのは、前回買おうとして遠慮した婚約指輪だった。
 虹色に煌めく美しいダイヤが一粒ついたプラチナの指輪。

「これもつけてほしいという俺の希望を叶えてくれないか」

(いつ注文したの……? あっ、もしかしてあの時……)

 私は、カフェから出た時に「ジュエリーショップに万年筆を忘れたから」と鷹司さん一人で取りに戻ったことを思い出す。

 鷹司さんは私が遠慮したことに気付いてたんだ。

「栞、俺が付けてもいいか?」

 鷹司さんにそう聞かれて、私は震える声で「はい」と返事をする。
 
 まるで結婚式のようで、胸が高鳴ってしまう。
 鷹司さんの長い指によって、私の結婚指輪の上に婚約指輪が嵌められた。
 
 重ねづけできるデザインだから、ぴったりと合ってとても綺麗。

「鷹司さん、ありがとう……」

 鷹司さんの愛情が沁みて、私はうれし涙を流してしまった。
 鷹司さんの事を好きになってからずっと好きな気持ちを更新していってる。
 
 こんなに好きになれる人と出会えて、付き合えて、結婚できて……私、本当に幸せ。
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