双葉に咲いた、ニセモノ双子。
この時はぼんやりしていて、あまり意識していなかった。

でも、きっと……ここで、泣き虫ではなくなってしまったんだろう。

あの時から、ずっと涙は枯れたままで。

必死に走っている時は、いらないほど出てきたのに。

ああ、だけど……復讐を忘れないためには、いいかもしれない。



「心乃花! だれかが呼んでるみたいだよ?」

「あれ? そうだったんだ! ごめんね、ちょっとぼんやりしてた」

「気持ちはとってもわかるよ! 疲れちゃったもんね。だけど、呼んでるみたいだから急ごう!」

「うん!」



わたしはにっこりと笑顔で引っ張ってくる心乃華に、いつもの笑顔で返事をした。

いつもみたいに心へ吹き付ける、冷たい風。

それを少しだけ忘れさせてくれるのは、心乃華の力強い手のひらだけだった。









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