好きになった人は、みんなのアイドルで 2

38話 いつもの距離

年末年始休暇も終わり、授業が始まる。

学食に入ると、向こうに見慣れた金髪が見える。

「あっ!悠太郎くんっ!」
走って近づく。
今までなら、こんな風には近付けなかった。
付き合ったことで少し気が大きくなってる私がいる。

「あ、紬ちゃん」
ふふっと悠太郎くんが笑って、手が近づいてくる。
(な、なに……?)
(え、なになに……こんな公衆の面前で……!)

「葉っぱ。頭についてた。どこから来たの」
葉っぱを見せて悠太郎くんが笑う。
「え、いつからついてたんだろう。恥ずかしい」
顔を見合せて笑う。

「ごはん、一緒に食べる?今日俺、一人なんだ」
「え、私も今日栞いなくて一人」
「じゃあ一緒に食べよ」
「それは……、目立つよ」

「いいじゃん」
とりあえず一緒に列に並ぶ。
列に並びながら喋ってるうちに、人の目を気にしていたことを忘れてしまう。

「どうせ席混んでるし、一緒に座ろ」
悠太郎くんと向かい合って学食でご飯を食べる。

「……なんか、恥ずかしいんだけど」
「いいじゃん、付き合ってるんだし」
「またなんか言われたら、嫌なんだけど」
「大丈夫、美桜ちゃんには言っといたから」
「えっ、なんて言ったの?」
「俺の好きな子いじめないでね、って」

それは……
ほっとしたのと同時に、胸が痛んだ。
美桜ちゃんも、ただ悠太郎くんのことを好きなだけだから。

「うん、ありがと」
次に美桜ちゃんに会ったら、美桜ちゃんはどんな顔をするだろうか。
美桜ちゃんに会うのが、少しだけ怖い。
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