いじわる主治医は、私にだけ甘い
9. 決意
慶人さんとのことがあってからも、同棲生活は続いた。
部屋も変わらずだったけど、慶人さんから話しかけられることは激減した。必要な事柄だけ一言二言話すだけになった。

寂しいと思うのは勝手すぎるから、私も努めて冷静でいるようにしたけれど、急に変わってしまった関係に戸惑っていた。本音を言えば、友達くらいには戻れるんじゃないかと思ったんだ。

「彩人、慶人さん怒ってるのかな?」

「戸惑ってる……ともちがうな、きっと心の落とし所を見つけるのに時間がかかってるんだろう」

「それって私でできることある?」

「んー、多分時間が解決する類のやつだよ」

「そうかなぁ……」

「落ち込んでるくらいなら、出かけよう」

「どこに?」

「今日花火大会あるんだよ」

「ほんと!? 行きたい行きたい!」

じゃあ行くかと、立ち上がる彩人。

「夏らしいこと、久しぶりにする!」

「人が変わったようだな」

「だって嬉しいんだもん」

本当のことを言うと、慶人さんのことはまだ気になっていたけど明るくしようと思った。
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