いじわる主治医は、私にだけ甘い
次の日、洗面所で仕事の準備をしていると、慶人さんが話しかけてきた。

「昨日、彩人から聞いた。冴ちゃんが友達に戻りたいって泣いてたって。ごめん泣かせて」

「いやっ、こちらこそごめんなさい」

「なんて言うか、あの日、決意を込めて僕に気持ちを伝えてくれた冴ちゃんに、これからどう接していいか、自分でもよく分からなかったんだ」

「私も自分から言ったのに、こんなこと言って困らせて」

「冴ちゃんが友達に戻りたいって言ってくれて嬉しかったよ」

「ほんとですか!?」

「あぁ。だからこれからは普通に話そう。ちょっとまだ気持ちの整理がつかない時もあるかもしれないけれど、その気持ちに応えたいと思ってる」

「私も慶人さんの気持ちを大切にしたいですから、無理はしないでください」

「じゃあ友達ってことで!」

と言うと、意地悪なことに慶人さんは整えたばかりの髪をぐしゃぐしゃにした。

「わぁー!! 遅刻しちゃいます」

「これが俺の決意だよ。友達になりたいなんて調子のいいこと言うから自業自得だ」

「ふぇーん、慶人さんも意地悪になっちゃった」

と言うと、さらにぐしゃぐしゃにする慶人さん。

「うわぁーもう完全遅刻です」

「あいつと同じとか二度と言うなよ。それじゃあね」

と颯爽と帰っていく慶人さんであった。
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