いじわる主治医は、私にだけ甘い
エコーが始まった。

「冴、プローブ入るよ」

……そこで、エコーの画像には赤ちゃんのようなものが心臓が脈打ってるのが私にも見えた。
彩人は黙って見つめている。
慶人さんが口を挟む。

「CRL、34ミリ。大きさから見ても10週くらいだね。彩人、どうしてこんなに週数が経つまで気が付かなかった」

「10週だと、俺たちが初めてした夜だからまさかと思ってしまった」

「お前は医者だろ!」

「すまん。言い訳の余地もない」

「喧嘩はやめて下さい。私が悪いんです」

「冴は悪くない。何も分からない冴を分かってて抱いたのは俺だ」

「でも……私だってもう24で大人です。自分の行いに責任を持つべき年齢です」

「そうだね。じゃあ、どうするつもりなの? 元々体も弱くて、喘息に心不全の既往もあるよね? 本当に産むつもり?」

「慶人、強く言い過ぎだ。少し考えさせてくれ。夫婦の問題でもある」

「分かった。僕は出ていくからゆっくり考えて。どの結果を出しても、僕は味方だから」

「はい、じゃあエコーを終わりにしましょう。隣の診察室に戻ってくれる?」

「うん」

慶人さんに強く言われて、身が引き締まった思いがした。
そしてまさかあの時の赤ちゃんだなんて、まだ困惑してる。初めての夜で、来てくれた赤ちゃん。
とくん、と胸が跳ねた。

「彩人、私、お母さんになれるかな?」

「うん。冴ならなれるよ。簡単な妊娠生活では決してないだろう。でも俺はそう信じてる。つわりとか体調辛い時も俺や慶人がそばにいる。きっとできる」

「私、この子を産みたい」

私のところに来てくれた小さな命。
エコーで動く心臓を見て、心から愛しいと初めて思った。
私はこの子を守りたい。
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