いじわる主治医は、私にだけ甘い
結局、根負けして暫く仕事は休暇を貰った。
12週の検診でも、赤ちゃんは元気に大きくなっていて安心した。

「冴、よく頑張ってる。本当は仕事に行きたいのに休んでることも分かってる。だけど今は赤ちゃんのために、冴のために休むのが仕事の時だ」

「うん、ワガママばかり言ってごめんね。自分で自分の気持ちが制御できないの」

「そういう時期なんだよ、冴ちゃんだけじゃない。もう少し頑張れば落ち着いてくるから」

「慶人さん、ありがとうございます」

「慶人はいつまで検診に顔出すんだよ?」

「いつまでも。お前が我を失わないか監視してる」

「失わねぇよ」

「前科があるからな」

それはきっと私の子宮筋腫の手術の時のことだろう。
彩人は緊張のあまり手術を進めなくなった。
あの時も慶人さんが機転を効かせて、助けてくれた。

「慶人さん、これからもよろしくお願いします」

「冴ちゃんが言うならいつでも主治医に変わるからね」

「それは彩人で(笑)」

「はいはい、ご馳走様です」

こうして辛いことはあったけど、妊娠初期はあっという間に過ぎていった。
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