いじわる主治医は、私にだけ甘い
今日は家族教室の主に父親学級の日だ。
沐浴の指導とか、妊婦体験とか、どんどん進んでいくが、

「お父さん、上手ですね」

「そりゃ産婦人科医なんで」

「ちょっと今は父親として参加してるんでしょ」

淡々とこなす彩人に周りが笑っていた。
やっぱり彩人は何をやらせても器用だ。

「でも確かに自分の子だと思うと愛しさが倍は違いますね」

彩人がそんなことを言うので、微笑ましくて嬉しい。

「パパ、頑張ってください」

「ママも頑張ってください」

お互いを励ますように言い合った言葉さえ、宝物のようで。

この子が産まれたら絶対に幸せにすると思ったし、彩人なら幸せにしてくれると確信した。

「あ、動きそう。手、出して」

「動いた! ……すごい」

初めての胎動を感じ感動したように声を震わせたが、彩人は泣かなかった。

「よかったね」

「よろしくな、赤ちゃん」

かけがえない幸せな時間が続いていた。
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