キミと歌姫はじめました!
昼休み。
「ごめん紗英!今日ちょっと用事あって!」
「えぇ〜!有栖に振られたぁ〜〜!」
「あとでちゃんと話聞くからさ!またね!」
軽く手を振って、有栖は教室を飛び出した。
向かう先は――屋上。
重たい扉を押し開けた瞬間、ふわっと風が吹き抜ける。
「うわ、気持ちいい〜!」
思わず声が弾む。
青い空。
広がる街並み。
誰もいない空間に、有栖は大きく伸びをした。
「はぁ〜……」
胸いっぱいに空気を吸い込んで、そのままくるりと一回転する。
スカートがふわっと揺れて、髪がなびく。
「……なんか、歌いたくなるなぁ」
ぽつりと呟いて、自然と鼻歌がこぼれた。
まだ形にもなっていない、断片的なメロディ。
「んー……ここ、もうちょい上げたほうがいいかな」
一人でぶつぶつ言いながら、何度も繰り返す。
高くしてみたり、落としてみたり。
テンポを変えてみたり。
風に乗せるように、自由に。
すると――
「っ、そのフレーズもう一回」
後ろから声がした。
びくっとして振り返る。
「うわ、びっくりした!」
そこに立っていたのは、軽く息を切らした零だった。
手にはアコースティックギター。
「遅くなった」
「それ、音楽室から?」
「うん、借りてきた」
そう言って、軽くギターを掲げる。
「いいね。本格的に打ち合わせできんじゃん!」
有栖はぱっと顔を明るくした。
「で、さっきのもう一回」
「え、いきなり?」
「忘れる前に」
有栖は少しだけ考えてから、さっきのメロディを口ずさむ。
「〜〜〜♪」
まだ曖昧な旋律。
でも、零はすぐにそれを拾った。
ぽろん、と弦を鳴らす。
「こんな感じ?」
「そうそう!零すっご...!」
もう一度、有栖が歌う。
それに合わせて、コードが重なる。
さっきまでただの鼻歌だったものが、
一気に曲になっていく。
「やば……楽しいこれ」
「ね。僕も。」
零は少しだけ笑う。
「サビに持っていくなら、ここで一回落としたほうがいいかも」
「えーでも盛り上げたいんだよね」
「じゃあリズムで上げる?」
「……あ、それいいかも」
二人で顔を見合わせて、同時に笑う。
言葉は少なくても、ちゃんと通じる。
「もう一回いくよ」
「うん」
風の音に混ざって、ギターの音が響く。
有栖の声が、それに重なる。
さっきよりも少しだけはっきりしたメロディ。
でもまだ、どこか未完成で。
「んー……なんか惜しい」
「もうちょい何か足りないね」
考え込む二人。
沈黙――のはずなのに、不思議と気まずくない。
むしろ、心地いい。
「これさ、ライブで歌うんだよね」
不意に有栖がぽつりと呟いた。
「うん」
「目の前に人いるんだよね」
「うん」
「ごめん紗英!今日ちょっと用事あって!」
「えぇ〜!有栖に振られたぁ〜〜!」
「あとでちゃんと話聞くからさ!またね!」
軽く手を振って、有栖は教室を飛び出した。
向かう先は――屋上。
重たい扉を押し開けた瞬間、ふわっと風が吹き抜ける。
「うわ、気持ちいい〜!」
思わず声が弾む。
青い空。
広がる街並み。
誰もいない空間に、有栖は大きく伸びをした。
「はぁ〜……」
胸いっぱいに空気を吸い込んで、そのままくるりと一回転する。
スカートがふわっと揺れて、髪がなびく。
「……なんか、歌いたくなるなぁ」
ぽつりと呟いて、自然と鼻歌がこぼれた。
まだ形にもなっていない、断片的なメロディ。
「んー……ここ、もうちょい上げたほうがいいかな」
一人でぶつぶつ言いながら、何度も繰り返す。
高くしてみたり、落としてみたり。
テンポを変えてみたり。
風に乗せるように、自由に。
すると――
「っ、そのフレーズもう一回」
後ろから声がした。
びくっとして振り返る。
「うわ、びっくりした!」
そこに立っていたのは、軽く息を切らした零だった。
手にはアコースティックギター。
「遅くなった」
「それ、音楽室から?」
「うん、借りてきた」
そう言って、軽くギターを掲げる。
「いいね。本格的に打ち合わせできんじゃん!」
有栖はぱっと顔を明るくした。
「で、さっきのもう一回」
「え、いきなり?」
「忘れる前に」
有栖は少しだけ考えてから、さっきのメロディを口ずさむ。
「〜〜〜♪」
まだ曖昧な旋律。
でも、零はすぐにそれを拾った。
ぽろん、と弦を鳴らす。
「こんな感じ?」
「そうそう!零すっご...!」
もう一度、有栖が歌う。
それに合わせて、コードが重なる。
さっきまでただの鼻歌だったものが、
一気に曲になっていく。
「やば……楽しいこれ」
「ね。僕も。」
零は少しだけ笑う。
「サビに持っていくなら、ここで一回落としたほうがいいかも」
「えーでも盛り上げたいんだよね」
「じゃあリズムで上げる?」
「……あ、それいいかも」
二人で顔を見合わせて、同時に笑う。
言葉は少なくても、ちゃんと通じる。
「もう一回いくよ」
「うん」
風の音に混ざって、ギターの音が響く。
有栖の声が、それに重なる。
さっきよりも少しだけはっきりしたメロディ。
でもまだ、どこか未完成で。
「んー……なんか惜しい」
「もうちょい何か足りないね」
考え込む二人。
沈黙――のはずなのに、不思議と気まずくない。
むしろ、心地いい。
「これさ、ライブで歌うんだよね」
不意に有栖がぽつりと呟いた。
「うん」
「目の前に人いるんだよね」
「うん」