幼なじみの救命士は、再会した初恋の私を今度こそ逃がさない 〜拒否権なしの溺愛同居〜

番外編 芽依子の30分間クッキング

朝早いキッチンから、鼻歌が流れてきた。
この時間に彼女が立っているのは、最近は見慣れてきた。
 
ただ――。
 
芽依子が料理をするときだけは、どうしても目が離せなかった。
遥希は気づかれないようにキッチンの入口にもたれた。

すると、ピタリと鼻歌が止まる。
芽依子が深呼吸して、姿勢を正す。

「いざっ!……やぁっ」

気合いとともに、といた卵を流し込んだ。 
焼きひろがる音に、出汁の香り。
 
「よっ……ほぅっ……」

少し危なっかしい手付きで、卵焼き器をふるっていく。

「よしっ……できたっ」 

小さくガッツポーズをとる可愛い姿に、遥希は堪らず息がこぼれた。     

「……遥希?」
「おはよう」
「おはよ、なんでそんな顔してるの?」
「いや……今日の卵焼きは救えてるなぁって」
「そりゃあ、日々上達してますからね」 

出来上がった卵焼きと誇らしげな芽依子とを、交互に見やりながら、遥希は昔を思い出した。
< 31 / 34 >

この作品をシェア

pagetop