私に憧れていた年下社長と出張一夜、理性が崩れて溺愛が止まりません
まるで、他人事のように。

それが、かえって現実味を帯びてしまう。

その瞬間、彼の空気が、わずかに揺れた。

一歩、近づく。無意識に、後ずさる。

けれど、すぐに壁に背が当たった。

逃げ場がない。視線を上げると、すぐ目の前に彼がいる。

今まで見たことのない距離。

今まで見たことのない、表情。

抑えていたものが、少しだけ滲み出ている。

「……京子さん」

低く呼ばれる。その声に、心臓が大きく跳ねる。

「その話……受けないでほしい」

絞り出すような声だった。

強くもない。命令でもない。

けれどそれまでの彼からは、決して出てこなかった言葉。

理性の隙間から、零れ落ちた本音。

その一言で、静かだったはずの何かが、確かに動き始めた。
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