私に憧れていた年下社長と出張一夜、理性が崩れて溺愛が止まりません
背中に回された腕の熱が、じわりと伝わってくる。

こんなふうに触れられたのは、初めてだった。

仕事の関係では決して越えなかった距離。

それが、一瞬で崩れていく。

「ずっと、見ていた」

耳元で囁かれる。

吐息がかすかに触れて、思考が揺れる。

「専務の頃から……ずっと」

その言葉に、胸が締め付けられる。

知らなかった。気づけなかった。

それほどまでに、彼は隠していたのだ。

「……どうして」

やっとの思いで声を出す。

すると、抱きしめる腕にわずかに力がこもった。

「立場があったからです」

短く答えたあと、少しだけ間を置く。

「でも、もういい」

その言葉と同時に、ゆっくりと顔を上げられる。

視線が重なる。

逃げようと思えば、逃げられたはずなのに。

なぜか、動けなかった。
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