私に憧れていた年下社長と出張一夜、理性が崩れて溺愛が止まりません
仕事に私情を持ち込むなんて。

そう思って、気持ちを押し込めたその時だった。

ふと、隣から視線を感じる。

思わず顔を上げた。

けれど目が合う直前、彼はすっと窓の外へ視線を逸らした。

まるで、見ていたことを隠すように。

「……何かございましたか?」

問いかけると、彼は何事もなかったように答える。

「いえ。少し考え事をしていただけです」

それ以上、踏み込ませない声音。

やっぱり、遠い。こんなにも隣にいるのに。

こんなにも、きちんと仕事をしているのに。

――どうして、ほんの少しでいいから、崩れてくれたらいいのに。

そんなことを思ってしまった自分に、驚く。

私は小さく息を吐き、再び視線を落とした。

社用車は静かに走り続ける。

この距離を保ったまま、何も変わらないまま。
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