経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength

夢の国で

 そして当日。大きな駅から直通バスが出ているので行き帰りはそれを使う事にした。二時間乗れば着くので楽ちんだ。早朝だったけれど満席のバスで二人は目的地に到着した。まだ朝の八時。

 オープンまではあと一時間あるけれど、もう沢山の人がいて、どんどん人が中に入っていく。けれど入場の手続きをしている様子ではない。あれは何? と二人は足を止めた。

「手荷物検査があるんだって」

 入り口の前でパンフレットを見ながら司が呟く。入場までの手続きがそんなに複雑だとは思っていなかったから確認が遅れた。

「凄いね。空港みたい」

 素人二人は、それぞれにバラバラに動いている玄人の誰についていけばいいのか分からずに暫く立ち尽くした。しょうがない。再びパンフレットを確認してみる。

「えっとー、検査は何か所かあるみたいなんだけど、ここからなら正面入り口が近いかな? 駐車場側にもあったみたいだけど、こっちまで来ちゃったからなー」

「そっか。検査はもう始まってるみたいだし並ぶ?」

「うん」

 そんな事を話しながら人ごみの後ろを歩こうとした二人に声がかかる。

「失礼致します。上野司様でいらっしゃいますか?」

「え?」

 振り返ったらスーツ姿の女性が立っている。二人で顔を見合わせてから司が頷いた。

「はい」

「上野様。本日のお越しを心よりお待ちしておりました。上野様の為にお手続きの準備を整えて別のお席をご用意しております。どうぞこちらへ」

「…え?」

 ここからVIP待遇始まるの? と、司と綾音は一気に緊張した。その顔を見てコンシェルジュが優しく微笑む。

「お足元お気を付けて、私についてお越し下さいませ」
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