経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
「…」

 これはリップサービスではないことは分かる。そして自分に聞かせようとしている訳でないことも分かる。だからどうしたら良いか分からなくて綾音は少しシーツに潜った。

 その行動が更に可愛いなんてことは本人は全く気付いていない。気付いていたらしなかった。

 ラーテルとは思っていないけれど、司をハムスターと思っている訳でもない。若い男性を刺激したらどうなるかなんて綾音にも分かっている。だからこれは単なる逃避行動だった。

「うーん…」

 さて。それを見た司は唸った。あれ? どうしたのかな? と、目だけを出した綾音が更に可愛いなんて…以下省略。

「きゃ…っ」

 次の瞬間、ぎゅーっと抱き締められた。抱き締められたと言うよりもしがみ付かれたという方が正しい。首や肩に司の髪が触れて擽ったくて震えた。その反応が駄目押しだとばかりに司が呟く。

「綾ちゃん。それは駄目だわ」

 もしも舞がいたら「いや、お前のせいじゃん」と言うところだけど生憎冷静に突っ込む人間はいない。

「え?」

「ちょっと我慢して」

「…ええっ?」 聞き返した綾音の言葉など無視して司は綾音を押し倒す。そのまま体にキスした。わざと音を立てるような濃厚な愛撫に綾音の体が強張る。

「ん…っ。ま……っあん……っ」

 抵抗しようとした手を取られてそこにもキスをされて怯んだ。そのせいで少し露わになってしまった体に司が触れる。

「あの…もう…っ」

 待って、待って。と理性で呟くけれどその行為自体が嫌な訳では無い綾音の声は弱い。昨日教え込まれた感覚を期待している体が敏感に反応してしまう。

 その綾音に司が言う。

「最後まではしないから」

 困るの分かってる。大丈夫。とばかりに囁く司に言い返せなかった。それを拒むことは本意ではないし理由もない。でもやっぱり駄目だと思う…。

 そんな本能と理性の間で揺れ動いたけど結局何もできなかった。
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