経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
IRだってお手のもの
そして実は、これが切っ掛けで司はテーマパークのチケットをゲットしたのである。役員にしてみれば子どもにご褒美の玩具を上げるような感覚だったけれど、司にとっては想像したこともない極上の体験ができる夢の様なチケット。それで綾音と二人で楽しい旅行を満喫した。
その礼に部屋を訪れた司に上司は言う。
「どうだった? 楽しかったかな?」
「…はい。凄かったです。何もかも」
そして二十歳そこそこの子ども宜しく、あれもこれもと報告する司に上司は笑った。
「君はあれだね。プライベートではそんなに子どもなのか。この前、役員相手に話していた時とは別人みたいだ」
「はい。本当はただの若造です」
「ははは。…じゃあ、少し人を変えて貰おうかな。IR部(※企業が株主や投資家に向けて、経営状況や財務状況などの情報を発信する専門部署)からリリース案が上がってきた。君はどう思う?」
「…拝見します」
受け取って文字を読み始めた司の表情が変わる。それを、やれやれという顔で上司は見ていた。
一番怖く、そして何よりも有難いのは本人がまだ社会でどんな評価を受ける人間か自覚していないことだ。こういう人間はすぐに狙われる。会社の変化に気付いたスカウト達が司の存在を知ったら放っておく筈がない。手を変え品を変え奪いに来るだろう。頭が痛いな。転職は本人の自由とは言え、こっちだってこんなに重要な人物をみすみす奪われる訳にはいかない。とにかく隠しつつ、本人にもやり甲斐のある仕事や報酬を十分に与えて囲い込まないと。
その礼に部屋を訪れた司に上司は言う。
「どうだった? 楽しかったかな?」
「…はい。凄かったです。何もかも」
そして二十歳そこそこの子ども宜しく、あれもこれもと報告する司に上司は笑った。
「君はあれだね。プライベートではそんなに子どもなのか。この前、役員相手に話していた時とは別人みたいだ」
「はい。本当はただの若造です」
「ははは。…じゃあ、少し人を変えて貰おうかな。IR部(※企業が株主や投資家に向けて、経営状況や財務状況などの情報を発信する専門部署)からリリース案が上がってきた。君はどう思う?」
「…拝見します」
受け取って文字を読み始めた司の表情が変わる。それを、やれやれという顔で上司は見ていた。
一番怖く、そして何よりも有難いのは本人がまだ社会でどんな評価を受ける人間か自覚していないことだ。こういう人間はすぐに狙われる。会社の変化に気付いたスカウト達が司の存在を知ったら放っておく筈がない。手を変え品を変え奪いに来るだろう。頭が痛いな。転職は本人の自由とは言え、こっちだってこんなに重要な人物をみすみす奪われる訳にはいかない。とにかく隠しつつ、本人にもやり甲斐のある仕事や報酬を十分に与えて囲い込まないと。