経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
「瀬戸ちゃんの知り合い?」

 間違いなく会社の人間だろうし、綾音の様子を見てもその呼び方は気に食わない。けれど先輩なら仕方がないかと司はその男に向き直った。

「はい。同じ大学の同級生ですが」

 そう答えたら、うわ。とでも言いたげな顔で相手は言う。

「あの、経営企画に入った子?」

「…はい」

 何か文句あるのかよと思いながら頷いたら、じろじろと眼鏡を見て相手は頷いた。

「へー…真面目そうだねー。瀬戸ちゃんと仲良いの?」

「…まぁ…」

「じゃあ、彼氏の事も知ってる? 随分軽い感じの男と付き合ってるみたいだけど」

 それ、さっきも言われたけどどういう事? 俺の事で間違いないんだよな。と司は顔を顰める。俺、そんなにチャラいか? 外から見るとそう見えるの? でもこの人、目の前に本人がいても全然気付かないじゃん。

「いや…え? 何で…ええと、先輩? え? 先輩?」

 そもそも誰なの? と、綾音に聞くと「営業部の宮城さん」と小声で教えてくれた。どっかで聞いたな。そして思い出す。綾音に言い寄って振られたって食堂で聞いた奴か。

「ええと? 宮城さん。何でそんな事を知ってるんですか?」

「見たんだよねー。三連休の日曜日にさ」

 三連休の日曜日。ということは旅行の二日目。一日中一緒にいたんだし、もしも見られていたとしたら間違いなく自分だ。けれどやっぱり心当たりがない。

「…あの、見ただけで軽いと決めつけるのも変ですし、そもそもそれ、本当に瀬戸さんですか? 間違いなく?」

「営業舐めるなよ。人の顔覚えるのは得意だし、確認したらそこにいたって本人が認めたよ。〇〇駅に二人でいたって」

 うん。いたな。テーマパークからこっちに戻って来た場所だ。
< 131 / 154 >

この作品をシェア

pagetop