経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
「相手の事を知ってるなら教えてよ。そいつ社会人? どこで働いているの?」

「それは…個人情報なので教えられません。瀬戸さんも言いたくないでしょう」

「君は知ってるの?」

「…まぁ…多少は…」

「あ、そう。じゃあ、そいつ君から見てまともに働いてるの? 将来性あるの?」

「え?」

 もう何を聞きたいのか分からないぞ。と、司は言葉に詰まった。それをどう受け取ったのか、宮城は呆れた様に笑ってこんなことを言う。

「大手で働いている女の子って、結構駄目な男に引っかかるんだよねぇ。稼ぐし気も回るからなのか、甘えられて落ちる子が結構いてさ。瀬戸ちゃんもそのタイプじゃない?」

 成程。と、司はやっと理解した。ふらふらと纏まりのない話をするから理解が遅れた。自分が言いたいことだけを言いたい順番で言われるのって本当に面倒だ。

「そうだとしても本人が幸せならいいんじゃないですか?」

「随分冷たいね。友人を大変な目に合わせたくないとは思わないの?」

「他人の考えで仲を引っ掻き回すのもどうかと思いますよ」

 そもそも知り合いでも事情を知る訳でもないのに。と、呆れた司は呟いた。

「じゃあさ。一度他の人も試してみるのは良いと思わない? それでいい方を選べばいい。恋愛ってそういうものだろ?」

 第三者の話なら、ここも「本人が良ければいいんじゃないですか」と言っていた。司は境界線がはっきりしていて、他人の領域を決して侵さない。だから冷たく見えることもあるけれど、裏を返せば他人の思考を捻じ曲げない為の優しさなのだ。

 けれど綾音の話となれば別だ。先輩だろうが何だろうが譲れないものは譲れない。それは舞とのやり取りでも如実に表れていた。そして一見懐が深い司の一線を越えるとどうなるか。唯一真実を知る舞はここにはいない。

「…成程。じゃあ、俺が試して貰っても良いんですよね?」
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