経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
 三十分後、司がやって来た。ノックの後に部屋に入ってきた司を見て女子二人は反応する。あ、スーツだ。お。と、目を見張った二人の前で司の方が目を丸くする。

「…は?」

「お疲れ様」

「お疲れー」

 と、二人は平常心でそう言った。けれど舞は司の動揺に気付いていた。けけけけ。愉快愉快と腹の中で悪い顔をする。お前のその間抜け面をどれだけ待ち望んだことか。

「綾ちゃん? 何でそんなばっちりメイクしてるの?」

 挨拶なんて無視して司は綾音の顔を覗き込んだ。その至近距離に綾音は目を丸くする。

「え? そんな、濃い筈は…え? だよね? 舞ちゃん」

「濃くはないけど普段してないから変わるよねー」

 二人の慌てっぷりに舞は声を上げて笑った。お前の仕業かと睨み付けてきた司に、あたしは悪くありませーんと手の平を上に向けて肩を竦める。

「うちらも就活の準備してるだけだもん。綾にメイク教えてって言われて応じただけですが?」

「く…」

 悔しそうな司の顔に溜飲が下がった。あー、すっきりした。女の友情を舐めんなよ!? ふぁっはっは!!
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