経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
「…は?」

「……え?」

 しーーん。それなりに防音効果の高いカラオケルームは沈黙した。

「……何? 言って?」

 言葉も出ない綾音の代わりに舞が呟く。いや、これは自分が行くしかない。自分が仕掛たせいでラーテルは暴れ出したのだ。でも怖くて近寄ることもできない猛獣から少し距離を取りつつ様子を伺う。

「それでも万全とは言えないけど、少なくともそうした方が良い。そうする」

「だ、駄目だよ。司君、正気に戻って!」

「俺、正気だよ。綾ちゃんは心配しなくて大丈夫」

「馬鹿じゃないの!? 正気な訳ないじゃん! あんた、そんなちゃらんぽらんな人生歩んで綾音を守れると思ってんの!? 綾音を落とせると思ってんの!?」

 どうにかして止めなきゃと慌てた舞も言葉を選ばずに叫んだ。その言葉を聞いても綾音も赤面する余裕すら無い。

「何がちゃらんぽらんだよ。人の人生にケチ付けんな」

「女に目が眩んで進路を変える男のどこがまともだよ! ちゃらんぽらんに決まってるだろうが!!」

 舞がそう叫んだら司は笑った。その顔には見覚えがある。綾音に告白した翌日に、責めた自分をやり込めた時の顔。思わず怯んだ舞に司は言った。
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