経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
「俺はさ。今も変わらずに綾ちゃんが好きだよ。だから付き合って欲しいと思ってる。あの時はそういう希望をはっきり言わなかったから今すぐに返事を欲しいと言うつもりは無いんだけど、ここから改めて考えてくれないかなと思って」

 色んなタイミングを考えて、司がそうしてくれたことは分かっていた。だからお互いにそれをそっと胸に置いたまま、必死にやるべきことをした。それが終わったから改めて今、司は自分に渡してくれたと綾音は気付いた。

「綾ちゃんのタイミングで構わないから、いずれ返事を貰えれば。あえて言う事でもないのかもしれないけれど、綾ちゃんの返事をそのまま受け入れるし、同じ会社にいることが気まずくなるようなことはしないから安心して」

「う、うん……あの」

 頷きながら、そんな事よりも自分の気持ちをすぐに言うべきじゃないかと思った。もうはっきりと自覚している。待たせる必要もそんな心配をしてもらう理由も無いのに。と、頑張って気持ちを伝えようとした綾音に、司は声を変えてこう言った。

「それを踏まえて綾ちゃんに一つお願いがあるんだけどさ」

「…ん?」

 あれ?

 ざっ。と、滝みたいにさっさと話が流れて綾音はそれを呆然と見送った。何もすることができずに行ってしまったという方が正しい。どうも司の話の本髄はこの先にあるらしい。そうなの? どうしよう。でも、それなら話を聞いた方が良いかな。と、「はい」と頷いて姿勢を正した綾音に司はこう言った。

「俺をね。仮の彼氏ってことにしておいてくれないかな」
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