経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
「付き合ってるって言っても俺らのは仮じゃん。様子見てるところでしょ? そこまでのこと、考えてないよね?」

「仮…。あ…。そうだよね。…ごめんなさい。それが全然違うことだっていう理解が…。あ…ほ、他の人にも、彼氏いるって言っちゃった…あの、でも、司君とは言ってないから。も、もし必要なら、取り消して…あ、ううん。ちゃんと否定してくる…」

「う…。いや、駄目。それはしないで」

 そういえばそんな事あったな。と、会社で聞いた話を思い出してぞっとした。あれだけの筈がない。きっと他にも綾音を狙ってる男はいる筈だ。ただでさえ声を掛けてきた男にやっぱり彼氏いませんなんて言ったらどうなるか。

「え。で、でも」

「仮でも彼氏は彼氏だから。いないっていう方が嘘になる。だから駄目」

「え? ええ?」

 それ、どういう関係なの? 何が良くて何が駄目なの? と、綾音は更に混乱した。

「あの、ど、どうすれば良いの? 司君のこと、彼氏と思って良いの? 駄目なの?」

 仮の彼氏だということは、綾音もちゃんと理解はしていた。けれどそれ以上に親密に付き合ったり、対外的な対応をした結果、認識に大きなずれが生じて混乱している。仮と本当はどう違うの? 何処までが仮なの? しかし正解などありはしない。司に聞いても分からない。おまけに綾音自身が司を大好きなので、自分で調整する事もできない。でも、司にはそれが分からない。

「俺は彼氏にして欲しいけど、綾ちゃんが俺のこと好きになってくれなきゃ無理だから。それは綾ちゃんのタイミングで…」

「す、好き」

「は?」
< 74 / 154 >

この作品をシェア

pagetop