経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength

それは穏やかで、きっと普通で、少し不思議

 それからも二人の付き合いは続く。会うことがデートになっても変わらない。特にドラマチックでもない穏やかな日々が過ぎていく。



「司君、目悪いの?」

 眼鏡を見て足を止めた司を見上げて綾音が呟く。

「いや、視力は良いんだけど、ブルーライトカットの眼鏡した方が良いのかなって。学生の時より根詰めてパソコンの画面凝視するから流石に疲れるんだよね…」

 そう言いながら一つ眼鏡を手に取る。ブルーライトカットと書いてあるけれどぱっと見はクリアなレンズだ。角度を変えると少しレンズに色が入る。それをかけて鏡を覗き込んた。

「ふーん。ちょっと視界変わるかな。…これで楽になるのかなぁー。色付きにしてがっつり…は…結構目立つな…。下っ端の癖に付け辛いわ…」

 司は眼鏡をかけたまま、色付きのレンズを見て呟く。見慣れない表情にどきっとした。

 それに司は気付く。にやにや笑って綾音の顔を覗き込んだ。

「綾ちゃんはどう思う? っていうか、眼鏡かけているのとかけてないのどっちが好み?」

「えっ」

 ぱっと顔を上げた綾音は司を見てもっと赤面する。

「ど、どっちも…良いと思う…」

 恋人のその反応に、もしも他の男だったら揶揄ったり戯ける言葉を口にしたかもしれない。けれどそう言われた司は嬉しそうに笑った。

「そう。じゃあ、これにしようかな」

「え? も、もっと色々試さなくて良いの?」

「綾ちゃんが良いって言ってくれるなら何でも。パソコン見る時に付けるだけだし」

「そ…そっか…」

「でも、綾ちゃんが見たいって言ってくれたら何時でも付けるから言って」

 そう言った司の顔を見れず、綾音は手で顔を覆った。
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