経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
 仲が良い。という一言では表現できない二人。歴史も浅くて経験も少なくて、お互いのことを理解し尽くしている訳でも無いのに一緒にいることが当たり前の様な不思議な関係。そこには胸の高鳴りや楽しさや戸惑いも確かにあるのに。

 そんな二人の関係は、初めてのこともいとも簡単に乗り越えた。



 ある日、二人でのんびりと街を歩いていた時。デジタルサイネージに映された見覚えのある映像に二人で足を止める。付き合う前、二人で見た映画の後編の広告だった。

「あ、後編公開になったんだ」

「ほんとだ」

「見に来る?」

 そのままの口調で司が言う。あれから約一ヶ月が経過していた。夏本番が見えてきた七月の初め。

 その間、一度も司の部屋には行っていない。その時とは違う自分達が、それをする意味は動揺するほど大きな筈なのに。

「…うん」

 けれどそう答えた綾音も同じだった。繋いだ手もお互いに動じない。顔を見合わせて笑って、そのまま何事も無かったように歩き始めた。
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