経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
 その言葉に過去の所業を思い出して綾音は少し赤くなる。

「…ちょっとだけ」

 仕事の時のようなきっちりメイクはしていない。でも、司が確認するような少しだけ。ちゃんと毎日メイクをすれば、その手加減も分かるようになってきた。

「何でわざわざ」

「だって司君、前そうしたら面白く無さそうだったし」

「あー。あの時は、綾ちゃんにとって自分って何だろうって手探りだったから不安になってさ」

 ごめんね。と、呟く司に事の真意を知る。どうやら手を抜いたと思われたようだ。

「…あの、あれは司君に甘えちゃって…」

「うん」

 その言葉に司は満足げに頷く。

「少し考えて、そうかなーと思った。だから俺、別に機嫌悪くなかったでしょ?」
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