経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
 そう言われて綾音はきょとんとしてから笑う。

「司君が機嫌悪いところなんて見たこと無いよ」

「そりゃそうだよ。綾ちゃんといて機嫌悪くなる理由が無いから」

 本当に、いつも凄く甘やかしてくれる。と、綾音は思った。それが分かったから司はこんな事を言う。

「綾ちゃんは?」

「え?」

「俺といて、イライラする事ある?」

 そう言われて考えた。司と一緒にいて不満や苛立つことを感じたことは殆ど無い。殆ど無いというか、思い出せない。

「あたしも…無い…」

 そう呟いて気付いた。司は惚れた弱みでも我慢している訳でも無い。ただ本当に、自分と同じ様に、一緒にいてそういう感情を覚えることが無いんだ。

 今更不思議に思う。男と女で、育ってきた環境も性格も全然違うのに全くぶつからない。ぶつからないというよりも、違和感を感じる瞬間すら無い。違う意見でも、反発することなくそれも取り込めてしまう。

「そうでしょ?」

 まるでそれが当たり前とばかりに司は笑う。でもそんなこと有り得るのかな。普通に考えれば有り得ないと思う。けど、実際に成立してる。

「…不思議だね」

「うん」

 お互いにそう思うのに、でもやっぱりそうなんだ。と、二人は受け入れて笑った。
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