経済学部一の人気者が同じ学部の大人しい女の子に一目惚れした理由│Quiet Strength×Soft Strength
司の部屋は1LDKで寝室が分かれている。
ということに、この時改めて気付いた。用もなかったし、司も何も言わなかったから前回も今回もその部屋は見ていない。そこに入ることに緊張した。
「どうぞ」
あっさり部屋に通してくれた司に何となく小さなお辞儀をして部屋に入る。背の高い本棚と広い机。その上にパソコンとモニターがある。さっぱりしていて綺麗だ。思わず本棚の本を見上げると、業界地図や経営企画の教科書が並んでいる。どれを見ても難しいタイトルに、同じ学部を卒業したとは恥ずかしくて言えないと綾音は現実に引き戻された。司は卒業後も勉強勉強の日々なのだ。自分もそうだけど、その労力や深さが全然違う。それを見せないことも本当に凄いと思う。
「難しい本、沢山だね」
「まだまだ力不足だからねー」
「大変?」
「大変だけど楽しいよ」
「…そっか」
司が自分の意思で会社を選んだことは分かっている。それでも、その言葉を聞いてほっとした。
努力家だからこそ、彼の人生にはきっといつも沢山の岐路があった。それを全部自分で掴み取り、考えて、決定して、何があっても後悔しない道を自分の足で歩いている。大学の時、自分に伝えてくれた言葉そのまま、ずっと。
「あの会社に入って良かったよ」
本を見ながら司が呟く。その横顔を見上げていたら、綾音を見て司はこうも囁いた。
「その前に、あの大学に入ったことも凄く良かった」
きっと幾つもの選択肢の中から、沢山悩んで決めた進路。その、ほんの僅かにでも何かが違えば違う選択になったであろう場所で、自分に出会えたことを喜んでくれている。
自分も嬉しい。沢山の奇跡の上にここに二人でいることを、この先もずっと忘れずに大切に思うと思う。
「うん」
嬉しくて思わず笑って頷いたら、司がそっとキスをしてくれた。
ということに、この時改めて気付いた。用もなかったし、司も何も言わなかったから前回も今回もその部屋は見ていない。そこに入ることに緊張した。
「どうぞ」
あっさり部屋に通してくれた司に何となく小さなお辞儀をして部屋に入る。背の高い本棚と広い机。その上にパソコンとモニターがある。さっぱりしていて綺麗だ。思わず本棚の本を見上げると、業界地図や経営企画の教科書が並んでいる。どれを見ても難しいタイトルに、同じ学部を卒業したとは恥ずかしくて言えないと綾音は現実に引き戻された。司は卒業後も勉強勉強の日々なのだ。自分もそうだけど、その労力や深さが全然違う。それを見せないことも本当に凄いと思う。
「難しい本、沢山だね」
「まだまだ力不足だからねー」
「大変?」
「大変だけど楽しいよ」
「…そっか」
司が自分の意思で会社を選んだことは分かっている。それでも、その言葉を聞いてほっとした。
努力家だからこそ、彼の人生にはきっといつも沢山の岐路があった。それを全部自分で掴み取り、考えて、決定して、何があっても後悔しない道を自分の足で歩いている。大学の時、自分に伝えてくれた言葉そのまま、ずっと。
「あの会社に入って良かったよ」
本を見ながら司が呟く。その横顔を見上げていたら、綾音を見て司はこうも囁いた。
「その前に、あの大学に入ったことも凄く良かった」
きっと幾つもの選択肢の中から、沢山悩んで決めた進路。その、ほんの僅かにでも何かが違えば違う選択になったであろう場所で、自分に出会えたことを喜んでくれている。
自分も嬉しい。沢山の奇跡の上にここに二人でいることを、この先もずっと忘れずに大切に思うと思う。
「うん」
嬉しくて思わず笑って頷いたら、司がそっとキスをしてくれた。