Automatic Love
 それでも、私なりに努力して来たつもりだった。
 しかし、その結果出来上がった人間関係が「これ」だとすれば、私は何かを間違えたのだろう。

 その場に残された私は、ため息を吐くと、ふと足元を見た。
 足元に何かがあるのに気づいたのだ。
 しゃがみ込み手に取って落ちているものを拾うと、私は立ち上がりながら呟いた。

「何これ」

 落ちていたのは1枚の付箋。
 拾い上げた付箋を見つめると、そこには「仮想 メルアド」と愛らしい女子らしい字がメールアドレスと共に書かれていた。


             ✦


 広報部のフロアの先に、私はその後向かった。拾った付箋の字に、心当たりがあったからだ。

 本社の広報部は、10階のエレベーターから出た南向きの通路の先にある。
 エレベーターから1人出ると、私は観葉植物の置かれた通路を歩いて、フロアの先へと向かう。通路には正午過ぎの日差しが差し込み、まぶしく窓ガラスが輝いて見えた。
 普段話したことのない男性社員が1人、別の部署の社員と思われる女子社員が1人通り過ぎ、私は互いに会釈を交わす。
 広報部内のフロアを奥に進み、彼女、遠藤(えんどう)希沙(きさ)さんの姿が見えたことで、私は足早にデスクへと向かった。

 だが。
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