苦くて甘い恋のゆくえ~無機質な堅物上司がメンターですが、本音なんて言えません~
ビシッと言われ戸惑う。茜は本能のまま生きてるタイプで、自分の感情を素直に表せる。常に可愛いが主体のフェミニンな服装に、毛先を丸めたヘアスタイルと華やかなメイク。言動も自然体でいる彼女の姿は時々羨ましく、微笑ましく映った。
自分はと言えば……パッとしないネイビーのシャツにライトグレーのパンツスタイル。肩まである髪を一つにまとめただけの平凡なヘアスタイル。そして目立たなすぎるほどの抑え目なメイク。
元カレと付き合っていたのは新卒で入社して間もない頃。何もかもが初めてで、仕事が忙しい中、どうにか会う時間を作っていた。そんな中、彼はいつでも自分を立ててくれる女性を求める。髪型や服装も彼の好みに合わせ、幸せな関係を続けていたつもりでいた。
でも、結局それは破綻してしまう。忙しい中、相手に合わせることばかりの日々で、自分の感情を出すこともできず、何もかも疲弊してしまった記憶しかない。
そんな私に、今さら恋愛なんて遠すぎる……。
テーブルに突っ伏すように前傾姿勢をとると、目の前の箸置きにあった箸にぶつかり、足元へバラバラと転がり落ちた。
慌てて拾い上げようと、すぐに身を屈め、箸の行く先を見つめる。